お香の香りがもっと楽しくなる厳選5ネタをご紹介
使ってよかった小物特集!第一弾は、ほのかに香る和の香りが魅力の「お香」です。仏教の伝来とともに日本に伝わって以来、和の文化として多くの人々に愛されてきました。主に木や蕾などの天然香木を原料として作られているため、自然で優しい香りを放ち、心地よいひとときを与えてくれます。雅な香りやゆらゆらと立ち上る煙で癒してくれるお香は、お部屋でのリラックスタイムや大切な来客時のおもてなしにおすすめです!この記事では、お香がもっと楽しくなる、厳選した5つの小ネタをまとめました。気軽に持ち歩ける和小物から老舗の上質な香木まで、楽しみ方も香りの種類も多様なお香ですが、自分だけのお気に入りの香りを見つけるお手伝いができると嬉しいです!
お香の歴史は古く、「日本書記」にも「香木」として記述が残っています。「香木」とは、良い香りがする木材の事で、沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)などが有名です。
最初は仏前にお供えし邪気を払う「供香」として用いられたお香ですが、平安時代になると貴族の文化として花開きました。部屋に好きな香りを漂わせて風流な趣を愉しんだり、調合した香りの優劣を競ったり、お香は雅な遊びとして重宝され、「源氏物語」や「枕草子」にも、華やかな貴族の生活に彩りを添えるものとしてたびたび登場するようになります。
鎌倉時代になり交易が盛んになると、より多くの良質な香木が入手できるようになり、武士の間にも香りを楽しむ風習が広がります。香木の一木のみを焚きそれを聞き分ける「聞香」が流行し、香道の下地ができました。
現在においても香りは、お焼香のような宗教的な役割から、アロマテラピーなど日常生活を豊かにするものまで、さまざまな場面で活躍しています。長い間日本人に愛されてきたお香をゆっくりと味わい、贅沢な時間を過ごされてみてはいかがでしょうか。
時代を超えて親しまれ受け継がれてきたお香には、多くの効果が有ります。
・癒し効果:お香の優しい香りは、日々の疲れた心をリラックスさせ、ストレス解消の効果があると言われています。またゆらゆらと立ち上る煙を眺めているだけで、ホッと一息できる癒しの時間をもたらしてくれます。
・消臭効果:なんとなく気になるお部屋の匂いも、お香の香りでリフレッシュできます。強すぎない自然の香りでお部屋の空間のにおいを抑えるだけでなく、衣服やカーテンなどにも匂いをしのばせ「移り香」としても楽しめます。
・除湿効果:お香を燃やすと、周りのじめじめした空気を取り込んでくれます。除湿器ほどのパワーは期待できませんが、高温多湿の日本には気軽に試せてほのかに香る、おすすめの除湿アイテムです。
・浄化作用:日本では古くから仏教などで、お線香やお焼香を使い空間を清め浄化してきました。お香の自然な香りは、心を落ち着かせる効果もあると考えられていて、気持ちの浄化作用も期待できます。
・防虫効果:お香の原料によく使われる龍脳や丁子などは、古くから防虫効果があると言われています。衣類の虫よけとしてタンスに置いてもいいですね。
他にも様々な効果があるお香ですが、北宋の詩人黄庭堅(こうていけん)がお香の十ある効用を「香の十徳」という漢詩にまとめています。「香の十徳」は、一休禅師によって日本にも広く紹介されました。
「香の十徳」
1.「感格鬼神」感は鬼神に格(いた)る:感覚が鬼神のように研ぎ澄まされる
2.「清浄心身」心身を清浄にし:心と体を清らかにし
3.「能除汚穢」よく汚穢(おわい)を除く:穢れ(けがれ)や汚れを取り除き
4.「能覚睡眠」よく睡眠を覚まし:眠気を覚まし
5.「静中成友」静中に友と成り:孤独な時には心を癒し
6.「塵裏偸閑」塵裡(じんり)に閑(ひま)を偸(ぬす)む:忙しい時でもくつろぎを与える
7.「多而不厭」多くして厭わず:多くても不快ではなく
8.「寡而為足」寡くして足れりと為し:わずかでも芳香を放ち
9.「久蔵不朽」久しく蔵(たくわ)えて朽ちず:長い間保存してもいたまず
10.「常用無障」常に用いても障りがない:常に使用しても差し支えない
たくさん種類があるお香の中で、どれを選んでいいか迷ってしまいますよね。お香は、初心者でも気軽に楽しめるものから、本格的なお心遣いに使うものまで、さまざまです。自分のライフスタイルに合わせて、香りを上手に暮らしに取り入れていけると良いですね。
・匂い袋(初心者度 ★★★):火を使わずお香を楽しみたい方に、おすすめです。お部屋の飾りや、洋服のポケットに忍ばせて使うことも出来ますね。
・文香(ふみこう)(初心者度 ★★★ ):匂い袋と同様に火を使わないお香です。紙に香料を包んだもので、お手紙に同封したり、手帳にはさんだりして使います。お財布に忍ばせてもいいですね。
・お線香・スティックタイプ(初心者度 ★★ ):直火タイプのお香で、最も一般的なものです。長いものは折ることによって、燃焼時間が調節できます。お香立てが必要です。
・コーン型(初心者度 ★★ ):コーン型の先端に火をつけます。灰がそのままの形で残り散らばさないので、片付けも楽で人気のお香です。燃焼面が広いので、短時間で香りが広がります。
・コイル型(初心者度 ★★ ):小さな蚊取り線香のような形をしています。長時間香りが続くので、広い場所に香りを広めたい時におすすめです。
・練香(初心者度 ★ ):練香は火を直接つけるのではなく、間接的に温め香りを楽しみます。火が回った香炭の近くに置き、ゆっくり温められた香りを楽しむ空薫(そらだき)等が有名です。
・香木(初心者度 ★ ):練香と同様に、間接的に温め香りを楽しむお香です。香木の中では、沈香と白檀が代表的です。「香」の香りを嗅ぎ分ける「聞香」で使われています。
お香の原料は数多くあり、香料の配合によりお香の世界はどんどん広がります。古くから人々を魅了し続けた、伝統ある天然由来の香料を紹介します。お香を手に取った際には、是非その成分にも注目して、自分の好きな香りを見つけてみてください。
・白檀(びゃくだん):白檀は古くから最も親しまれている香りの一つで、その植物自身が香る香木です。甘く爽やかな香りを放ち、サンダルウッドとも呼ばれています。常温でも香る特色を持つため、扇や仏像などの工芸品にも使われます。
・沈香(じんこう):樹木が枯れていく過程で、樹脂が凝結し変質する事で香りを放つようになったのが「沈香」です。本来なら水より軽い木が樹脂によって重くなり、水に沈む香りのする木ということで、「沈水香木」を略して「沈香」と言います。産地や熟成度合いなどによっても香りが異なるのが特徴です。
・伽羅(きゃら):「沈香(じんこう)」の最高級品で、樹脂が多く上質のものを伽羅と呼びます。大変な年月がかかるため希少価値が高く、究極の香木と言われる伽羅の香りに、長い歴史の中で多くの貴人が魅了されてきました。
・桂皮(けいひ):桂皮はシナモンとも呼ばれ、クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたものです。ほのかな甘さとスパイシーで独特の苦みを持つ香りが特徴です。
・丁子(ちょうじ):フトモモ科の植物で、開花前のつぼみを乾燥させたものです。グローブとも呼ばれ、刺激的でピリッとした辛さが特徴です。防虫剤としても利用されています。
・乳香(にゅうこう):乳香は、ボスウェリア属の樹木から分泌された樹脂の塊です。まるでミルクがしたたり落ちて固まったような樹脂の形と、時間がたつにつれて乳白色に変色していく色が、名前の由来だそうです。温めると、爽やかな中にほんのり甘い香りがします。
京都にはお香の老舗がいくつもありますが、その中でも、初心者でも楽しめて伝統的な香りも堪能できるおすすめの老舗を紹介します!プレゼントやお土産にも、きっと喜んでもらえますよ!
1.香老舗「松栄堂」
300年以上歴史がある老舗で、京都には4店舗あります。店舗によっては香りを聞く(じっくりと愉しむ)、「聞香を楽しむ会」など、様々な催しものを開催しています。京都駅には松栄堂の直営店「薫々」があり、おみやげを買うのにも便利です!
・芳輪 白川 スティック型
白檀の香りがとてもいい匂いです。京都駅に行くといつも香ってきて、癒されます!
・誰が袖 みやこ 衣装用3袋入
初めてお香が好きになった香りです。本当に良い匂いで、衣装の間に置いておくと防虫効果もあります。おすすめです!!
住所:京都市下京区東塩小路高倉町8-3
JR「京都」駅 八条口 アスティロード1階
電話:075-212-5590
2. 「山田松香木店(やまだまつこうぼくてん)」
江戸時代から続く香木専門店で、京都御所のすぐ近くに本店が有ります。匂袋作りや煉香作り、聞香体験が出来るサロン(予約制)が人気です。是非、奥深い「香道」の世界に触れてみてください。
・ 香り遊び 手作り匂袋
白檀の香りがとてもいい匂いです。京都駅に行くといつも香って サロンまでいかなくても、自宅で気軽に香原料の調合を試すことが出来るキットです。9種類の香原料を加えるごとに香りが変化していくのが実感できます。
・ かやり香 夕涼み 巻線香
白檀や龍脳を主体とした天然香料を使用し、お香としても楽しめる蚊遣り香です。爽やかな良い香りを放ちながら、蚊も寄せ付けません。
住所:京都市上京区勘解由小路町164
地下鉄烏丸線「丸太町」駅
電話:075-441-1123
3. 「 鳩居堂(きゅうきょどう)」」
二羽の向かい合った鳩のマークがかわいい「鳩居堂」は、350年以上の歴史を持つお香の老舗です。「鳩居堂」のお香は、伝統の優れた技を残しつつ、多様なニーズにこたえるためのアイディアが盛り込まれていることが特徴です。懐かしく斬新な雰囲気を味わってみてください。
・ 六種の薫物(むくさのたきもの)
平安時代に主流であったお香の形「練香」の中で、後世に引き継がれた代表格を「六種の薫物(むくさのたきもの)」と呼びます。平安貴族も愛した香りが、気軽にスティックで楽しめます。
住所:京都市中京区寺町姉小路上ル下本能寺前町520
地下鉄東西線「京都市役所前」駅
電話:075-231-0510
まとめ
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。使って良かった小物特集、「お香」の厳選5ネタを紹介させていただきました。「日本書記」に香木として登場してから、長い年月をかけて奥深い「香道」を培ってきたお香は、ホッと一息の癒しの時間を作るだけではなく、浄化作用や防虫効果など嬉しい効果がたくさんあるアイテムです。また、火を使わず気軽に楽しめる匂い袋や伝統的な香りを放つ香木等、初心者から本格的なお心遣いに使う上級者まで幅広く使える和小物です。今回はおすすめの老舗三店を紹介しましたが、京都にはまだまだおすすめのお香専門店が有ります。是非、貴族たちにも愛された和の香りを暮らしに上手に取り入れて、お部屋で雅な時間を過ごされてみてはいかがでしょうか。
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